スナフキン会計士

今までの人生経験を徒然なるままに書き記します

受験仲間 ドラゴンボールおっさん11

心に清々しい風が吹き人生の歩みを再び進めようと思っていたのは自分だけだった。歌舞伎町のど真ん中で号泣し、高笑い。周りからは単なる変質者にしか見えない。不審に思った通行人に110番通報されてしまった!!


ドラゴンボールおっさんの見てくれは、4年に及ぶ無職会計士試験専念生活とその後の会計事務所のハシゴ、クソみたいなアルバイトでホホは欠け落ちガリガリでまさに薬物中毒者。駆けつけたお巡りさん👮‍♂️に直ぐに変質者特定され職務質問されてしまった。怖い顔のお巡りさん。それに次から次へとどんどん増えていく。こいつらどんだけ暇なんだよと怒りを覚えるも、急行してきた沢山のお巡りさん👮‍♂️はやっぱり怖い!そのためどうしても回答がしどろもどろになってしまう。薬物の影響でロレツが回っていないと勘違するお巡りさん👮‍♂️!身分証の提示を求められ、財布を取り出すと中には100,000の大金が入っていた。薬物購入の費用と思うお巡りさん👮‍♂️。話がどんどん拗れていく!!いっそのこと逃走してしまおうかとも思ったが、運動らしい運動をここ数年全くしていない。おそらく小学6年生の体力測定でも勝てない程退化している。そして、彼らは逃げる相手を追っかけるのが本職。そして、捕まえた後、『なぜ逃げた?やましい気持ちがあったから逃げたんだろう!!』というのが彼らの人生の至福の時。そんな奴らを相手に今の自分が逃走を企てるのはあまりにも無謀!!


どうする!!どうするおっさん!!


続く

受験仲間 ドラゴンボールおっさん その⑩

歌舞伎町の雑踏で人目を憚らず号泣するおっさん、いや、感情が爆発して勝手に涙が溢れでできて止めようにも止められない。しかし、涙の量に反比例して冷静さを取り戻していく自分の脳。冷静さを取り戻した脳の思考は、今日の宴をご馳走してくれた友人の境遇に到達した。


有名私大を卒業して誰もが羨む有名企業に就職し、エリートサラリーマンの風格を欲しいままに肩で風を切って歩いていた旧友。しかし、見てくれとは裏腹に悩み苦しみもがきギズだらけだった。完璧な経歴、醸し出される自信、風格という鉄壁の鎧の隙間から流れ出る大量の血液!!奴は絶対無敵のスーパーサイヤ人などではなく、致命傷を負いながら敵将首を狙うただの負傷兵だった。殺し合いを継続中の現代の戦士!!彼と普通の兵士を区分しているのは、どんな致命傷を負おうとも、敵将首を必ず取るという気概だった。そんな戦闘中でも彼には不甲斐無い自分を励まし夜代をご馳ってくれるだけの優しさを心に残していた。


完全なる敗北だった。男としての完全なる敗北。清々しいくらいの敗北。そう観念した時、歌舞伎町のアスファルトに垂れ流していて大粒の涙は馬鹿笑いにかわっていた。大粒の涙を流した後の男の高笑い。周りの人はドン引きするも清々しい風がドラゴンボールおっさんの心に吹いた。


続く

受験仲間 ドラゴンボールおっさんその⑨

嬢はおっさんの肩をトントンと優しくさすった。それはおっさんが現実世界に戻る合図だった。涙で腫れた眼をこすりながら支払を済ませようとすると、ボーイから『既に延長分も含めてお連れ様よりお支払いいただいております』という意外な返事が返ってきた。『え、じゃあ、あいつはどうしたの?』と聞くと、明日、仕事が早いので先に帰ってると伝えてくれとの事。


狐につままれた気持ちで店をあとにし、慌てて友人に電話をしてみた。すると、友人からは電話の代わりにメールが届いた。『絶対合格しろよ!!そして、今日流した涙、嬉し涙に変えろよ。オレも今、仕事で色々大変だけど、お前が感情をむき出しに頑張ってるとこ見てまだまだ頑張ろーと思えたよ』


その言葉に再び涙腺が崩壊し泣き喚くドラゴンボールおっさん。キャッチのお兄さんも道行くリーマンもカップルもドン引き。どんなに周りから変な目で見られても、止めどなく涙が溢れてくる。おっさんの大粒の涙が歌舞伎町のアスファルトにボタボタと流れ落ちた。



続く